7つの特徴

「松下村塾 人の育て方」を書いた 桐村晋次さんは松下村塾には7つの特徴があると言っています。

1,生涯を通じて学習を続けたこと。

今の時代は教育機関が終わると勉強も終わりという傾向があるが本来は終わりではなく、続いていくものであり、学んだものもかつようしていかなければいけない。

2,師弟がともに学び合う「師弟同行」が、村塾の基本姿勢であった。

どんな人でもすべて優れているわけではない、他の人に学ぶことは多く、互いに師となる必要がある。そのうえで、リーダーたる人は高い身分の保持に伴う義務を努める必要があり、自らを厳しく律することを考えていた。

3,少人数グループの議論を通じて、情報や知恵を集積し、一人ではできなくても、グループでやり遂げられることを体得させた。

答えの見つかりにくい課題を数人で討議させたり、難しい問題への対応を数人の弟子を指名して一緒に取り組ませた。

4,封建時代の身分制度を廃止、庶民の力を高く評価した「草莽崛起」の思想を根付かせた。

今の時代で言うと、学歴や学校の評価、男女差、雇用形態などの様々な利害があるが、そういった関係性を無くし、適材適所で関り合いながら関係性をよくしていく必要がある。

5,社会発展のために、若者に期待し、彼らを育てるという基本的な方針が村塾にはあった。

若者の自立を辛抱強く待ち、答えの無い問題を仲間と議論して考える習慣を持たせる。教え急がず、自分自身についての理解を深めさせることを進めた。

6,専門性を高めるには基礎を形成する教養を積むことが大切だということが認識されていた。

多様性を理解し、それぞれが得意な分野の習得に努め、視野を広げることの大切を求めた。

7,現場現実にふれ、情報と実践を重視するという心構えであった。

社会に目を向け、情報と実践をしっかりと結びつけたのです。

 

これらの特徴を抑えて考えると、松下村塾の塾生は「『集団啓発の場』を活用して“自力で”育っていった」ということが言えるのです。そして、この「集団啓発の場」のために大切なのは➀集団討議の中で、問題意識を共有し、問題解決に向けて知恵を集めていくコミュニケーション能力 ➁有用な人的ネットワークの構築 ➂小集団活動における集団啓発と自己開発 であると桐村さんは分析しています。

 

この三つの活用点はなるほどと思います。しかし、それと同時にこの内容に皆困っているというのも事実であり、悩ましい問題点であると思います。では、これらの3つの視点はどのように考えていけばよいのでしょうか。